「法治国家」だけども、法律だけに頼らない社会にする

2023年7月5日更新
コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

この国は主に法律によっていろいろなルールが決められている、いわゆる「法治国家」なわけだけども・・・。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

国の法律には、国民全員が従わないといけないんですよね。それでこの国の秩序を保ったりするようにしてるんですよね。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

まあただ、実際問題として、みんなができるだけ良い人生を送れるようにしようとするにしても、みんなの細かい行動一つ一つについてまで、「こういうときはこれをしてはいけない、ただし例外としてこういう状況ならこうしてもいい」とかを全部法律とかで決めるっていうのは、無理じゃねえかな。法律とかを決める方も大変すぎで無理だし、国民の方もそんなにたくさんは覚えたりできなくて無理じゃねえかな。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

あ、まあたしかに。ちなみにぼくは、今のこの国の法律とかを全部正確に覚えてるわけじゃないですね。知らない法律とかも多いし、「これはしちゃいけない」って知っててもその法律に違反するとどんな罰になるのかとかは知らないものも多いですかね。そういえば、この国で一番効力が強いルールの「憲法」も、読んだことないしどこで読めるのかも知らないですね。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

う〜ん、まあ、法律とかが細かくたくさんあると、それを読んだり覚えたりするのとかだけでも労力とか時間とかがかなりかかっちゃって、その分他のことができなくなっちゃったりもしそうですかね。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

それから、法律で統治されている「法治国家」だと言っても、現実問題として、すべての法律違反をいつも必ず見つけて完全に適正に罰するっていうのも、無理なんじゃないかな。目撃者が誰もいないとか何も証拠が残ってないとかっていうこともあるだろうし、犯人がどこかへ逃げて見つからないとかっていうこともあるだろうし、当事者が証言してても実は嘘を言ってたり誇張して言ってたりする場合とかもあるだろうし。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

あ、まあたしかに、実際のところ、法律違反をしてても罰せられないで終わってるってこともけっこうありますよね。ぼくも、周りに誰もいないときとかは、軽微な交通違反とかはしちゃってますし。それから逆に、本当は法律違反してないのに違反してたって認定されてしまった、いわゆる冤罪っていうのもありますよね。まあ、実際の現場の状況がどうしても正確にわからなくて、真実がどうにもわからないってことも世の中にはけっこうありますよね。ちなみに、この国の法律では、実際に法律違反をしてても、法律違反したっていうことがきちんとした証拠で証明されない場合は、無罪っていうことになるんでしたっけ。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

法律違反をしても必ず罰せられるわけじゃねえなら、「バレなければいいや」とか「捕まらなきゃ大丈夫だ」とか思って法律違反の行為をする人もけっこういるんじゃねえかな。法律があるからといって、それでみんなの行動を完全に制御できるわけじゃあねえんじゃねえかな。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

法律には、重たい罰則があるものもあって、それが犯罪(法律違反の行為)をさせないようないわゆる抑止力になる場合もたしかに多いだろうけども、「重たい罰則も怖くない」「むしろ死刑にしてもらうか刑務所に入れてもらうかしてもらい」とか思う人がいると、その人にとっては、それは抑止力とかには全然ならないんじゃないかな、むしろ犯罪を促進するようなことになる場合もあるんじゃないかな。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

あっ、いわゆる、精神的に「無敵の人」っていうやつですかね。もう人生を完全にあきらめてたりして、死刑になろうがもう何も怖くないって感じてる人。そういうのはどんな法律を作ってどんな重たい罰を設定しようが行動を制御することはできなさそうですよね。むしろ死刑になることをしてそれで自分の人生を強制的に終わらせてほしいとか思うかも。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

そういえば、2022年7月に、安倍元首相が選挙活動中に襲われて殺害される事件が起きましたけど、「人を殺したら重罪」とか「銃とかの武器を許可無く持っていてはいけない」とかいう法律があっても、それから周囲に警備員とかがいても、それを止めることはできなかったですね。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

この世界では、死んだ人間は生き返らねえし、後から犯人が捕まったり罰せられたりしても、もう取り返しがつかねえこともたくさんあるよなあ。法律違反が必ず後で罰せられればそれでみんないつも幸せになれるというわけでもねえんじゃねえかなあ。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

ちなみに、法律違反した人を逮捕したり罰したりするには、警察官とか裁判官とか弁護士とか刑務所の職員とか、いろんな人の労力とかもかかりますよね。その分、税金とかもかかりそうだし、その当事者の人もお金とか時間とかかかりますよね。そういうところにお金とかがたくさんかかる社会って、みんなその分豊かじゃなくなるんじゃないですかね。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

それから、その社会で必要な法律とかがいつも必ずきちんと整備されているかというと、そうじゃないことも多いんじゃないかな。世の中に新しい道具がどんどん生み出されてきたりとか、社会の構造が昔とは変わってきたりとか、みんなの価値観が以前とは変わってきたりとかしても、それに合った法律が作られてないっていうこととかもけっこうあるんじゃないかな。この国の法律を決めてるのはこの国の国会議員たちだけど、この国の国会議員たちが、国民のことより自分たちのことを優先して、自分たちに都合の悪い法律は作らないようにしてるとかいうこともけっこうあるかもしれない。まあそもそも、法律というのは文章で書かれてるけども、中には内容が少しあいまいなものとかもある。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

あっ、う〜ん、そう考えると、法律がいつも、みんなができるだけ良い人生を送れるような、みんなにとって完璧に正しいルールにはなってないことも多そうかあ。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

まあ、法律とかっていうのは、「包丁は凶器にもなるから禁止」とか「自動車は事故で死ぬ人がいるから禁止」とかやたら厳しくしすぎると、むしろとても不便になっちまうし自由がかなりなくなっちまうよな。みんなの自由がなくなると、みんなそれぞれ、人生の中でできることが減って、できるだけ良い人生が送りにくくなると思う。だから法律とかは、できるだけみんなが自由になれるように、そんなに厳しく行動を制限しないようにした方がいいと思うが、ただそれで、「法律違反じゃないことはなんでもやっていい」ってみんなが思ってみんなが好き勝手に行動すると、表面的には法律違反の犯罪とかは少なくても、みんなしょっちゅうお互い迷惑をかけ合うことになってたりもして、結局みんなあまり自由じゃなくなっちまうんじゃねえかな。

サキノブの顔 サキノブ(20歳・学生)

う〜ん、たしかに、みんなが法律違反さえしなければ、それでみんなができるだけ良い人生を送れるようになるか、それでできるだけ良い社会になるかというと、そうではなさそうですよね。法律っていうのは人間が決めたルールで、法律に違反してないから社会にとって絶対悪くないことだとか、法律に違反してるからみんなにとって絶対悪いことだとか、そういうものではないかあ。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

それと、法律とかで規制したりできるのは、基本的に、「こういう行動はしてはいけない」とかっていう、表面的な行動だけじゃないかな。例えば、「こういう人を差別してはいけない」みたいな法律を作るにしても、現実問題として、表面的にこういう行動はしてはいけないっていうルールを決められるだけじゃないかな。みんなの心の中までしっかりとした証拠をあげて確認するっていうのはなかなか難しいと思うし、みんなの心の中まで規制するようなルールっていうのは基本的に作れないんじゃないかな、たとえ作ったとしても実効性はあまりないんじゃないかな。

ソテの顔 ソテ(28歳くらい)

あっ、なるほど。法律とかで罰則を設けてみんなの表面的な行動をある程度制限したりはできても、法律とかだけでみんなの心の中まで強制的に変たりすることはできなさそうかあ。それじゃあ、特定の差別的な行動とかをある程度減らすこととかはできても、差別自体のない、本当に平和で、「みんなができるだけうまく協力し合って、みんなそれぞれができるだけ得できる」ような社会とかを作ることとかはできなさそうかあ。

コーシ先輩の顔 コーシ(35歳くらい)

そう考えてみると、法律だけで国民を完全に制御したりだとか、法律だけに頼って国民みんながそれぞれできるだけ良い人生を送れるようにしたりだとかっていうのは、現実問題として不可能なんじゃないかな。法律はみんなの基本的な行動のルールとして決めるようにしておいて、根本的には、「みんなができるだけうまく協力し合って、みんなそれぞれができるだけ得できる」ようにしようっていうことをみんなに呼びかけて、それを納得してもらってみんなにいつもやってもらうようにした方が、みんな、できるだけ良い人生を送れるようになるんじゃないかな。その方が、できるだけ自由で平和で豊かで頼れる、できるだけ良い社会になるんじゃないかな。

ソータローの顔 ソータロー(35歳くらい)

まあ、社会っていうのは、その中の一人一人の行動の積み重ねによって作られていくものだと思うから、「法治国家」と言えども法律だけに頼らずに、一人一人の行動を、できるだけ良い社会が作られるようなものにしていくことが重要なんじゃねえかな。そして人間っていうのは基本的にいつも自分の意志で行動してるものだから、みんなが自分からいつもそういう行動をしたくなるようにしていった方がいいんじゃねえかな。



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