憲法改正をめぐる現在の状況
政治の話って言うと、なんか近年、憲法改正についてのニュースをたまに聞くようになった気がしますかね。2014年くらいまでは、憲法改正についての話題なんて、そんなに無かったような気がするんだけどなあ。
コーシ(35歳くらい)う〜ん、たしかに、2014年12月の衆議院選挙で自由民主党の人がたくさん当選したあたりから、憲法改正の話題が多くなった感じがするかなあ。なんか、自由民主党は憲法改正をかなりやりたいらしくて、2017年5月には安倍晋三首相が「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」とかって言ってたり、2020年1月には安倍晋三首相が「憲法改正は自民党立党以来の悲願。党総裁としての責任を果たし、私の手で憲法改正を成し遂げたい」とかって言ってたり、2022年7月には岸田文雄首相が「できる限り早く発議にいたる取り組みを進める」とかって言ってたりして、そういうのがニュースになってるっていうところも多いのかな。
サキノブ(20歳・学生)あっ、自由民主党ってそういう政党なのかあ。
ソータロー(35歳くらい)まあただ、選挙の時とかには、最近でも、憲法改正のことについてはいつもあんまり言ってないように思うんだけどなあ。なんか、選挙の時には、「景気を良くします」っていうようなことばっかりをたくさん言ってるような感じがするんだけども、選挙が終わると、憲法改正だとかってことにけっこうこだわってる感じがするかなあ。なんか、実際の政治は、国民の期待とは違うところにけっこう力を入れてそうな感じもするかなあ。
ソテ(28歳くらい)ちなみに、「次世代の党」っていうところは、2014年12月の衆議院選挙の時に、憲法改正するっていうことを第一にアピールしてた気がしますけど、選挙の結果は、選挙前の17議席から2議席になっちゃいましたね。そしてその後、政党自体もなくなっちゃいましたね。
サキノブ(20歳・学生)憲法改正って、した方がいいんですかね?
ソータロー(35歳くらい)サキノブはどう思う? この国で暮らしてて、「憲法を改正した方がいいのになあ」とかって思うか? 「憲法のここが良くないなあ」とか、「憲法のここをもっとこうすればいいのになあ」とかって思うことがあるか?
サキノブ(20歳・学生)う〜ん、正直なところ、憲法の中身ってあんまりよくわかってないですけど、「憲法を改正した方がいいのになあ」とかって特に思ったことはないですかね。あっ、ちなみに、この国の憲法は平和をとても大事にしてるって聞きますけど、そこは変えてほしくないなあとは思ってますね。
ソテ(28歳くらい)憲法改正をしたい人たちっていうのは、どうして憲法を改正したいんですかね? 憲法のどこをどう改正したいんですかね?
コーシ(35歳くらい)う〜ん、憲法改正をしたいっていう人たちの中でも、憲法のどこをどう改正したいかっていうのは、けっこういろいろ意見があるみたいかな。現状、憲法改正に積極的な政党は、自由民主党とか日本維新の会とかだけど、自由民主党は主に、「今の憲法の成立の経緯がこの国の国民による自主的なものじゃなかったから変えたい」とか「集団的自衛権の行使をできるようにしたい」とかって言ってて、日本維新の会は主に、「道州制や首相公選制とかをしたい」とかって言ってるみたいかな。それから、自由民主党の内部でも、憲法のどこをまず変えるかとかにはいろいろな意見があるようかな。
サキノブ(20歳・学生)へ〜、なんか、同じ「憲法改正に賛成」って言ってても、自由民主党と日本維新の会じゃ、中身が全然違う感じですかね。
ソータロー(35歳くらい)ただ、中身は全然違う感じなのに、自由民主党と日本維新の会は、憲法改正に、「お互い協力していく」とかって言ってるんだよなあ。
ソテ(28歳くらい)えっ? そうなんですか? なんか、「憲法」っていう同じ枠組みの中のものでも、実際問題として、全然違うことをする感じなんじゃないんですかね。それで、お互い協力するっていうのは具体的にどういうことなんですかね?
ソータロー(35歳くらい)う〜ん、まあオレも全てを知ってるわけじゃあねえけど、例えば、「どこを変えるかはともかく、とにかく憲法改正をしたい!」っていうような人とかもけっこういるのかな。
サキノブ(20歳・学生)えっ? 「とにかく憲法改正をしたい」? それはなんでですかね?
コーシ(35歳くらい)まあそれも人によっていろいろ理由があるっぽいけど、例えば、「今の憲法の成立の経緯がこの国の国民による自主的なものじゃなかったから」とか、「自分の名声とか実績のため」とかなのかなあ。
サキノブ(20歳・学生)「今の憲法の成立の経緯がこの国の国民による自主的なものじゃなかったから」? そうなんですか?
コーシ(35歳くらい)う〜ん、今のこの国の憲法ができたのは、今から約70年前、1946年頃のことだそうで、ぼくは当時のことを実際に知っているわけじゃないけど、土台となる案は、GHQっていう、主にアメリカ人の人たちが作ったらしい。ざっくり言うと、1945年8月、この国はアメリカとかとの戦争に負けて、降伏した。そしてGHQに統治されることになった。1945年10月、GHQは、「憲法を改正しなさい」っていう要求を日本政府に出した。1946年2月、日本政府は憲法の案を出した。ただ、GHQは、これじゃあ今までとたいして変わってないし保守的だし駄目だっていうようなことを言って、それを拒否した。そしてかわりに、GHQで急いで作った案を出して、これをもとに検討しなおすようにと指示した。1946年3月、日本政府はGHQが出した案に原則として沿う憲法を作った。これが今の憲法になった。っていうことらしい。
ソテ(28歳くらい)う〜ん、なるほど、それで、「今の憲法はアメリカから押し付けられたものだ」とかって言う人もいるのかあ。まあでも、日本人が今の憲法を作るのに全然関わってなかったとかいうわけじゃあないんですね。まあ、実際問題として、どの程度自由に作れたかはわからないですけど。最初に作ったのは拒否されてるし。
コーシ(35歳くらい)まあ最近の若い人とかには、「憲法はアメリカの押しつけだ」とか、「本当に自分たちで憲法を作りたい」とかっていう意識はそんなにない人が多そうな気がするけど、昔の人には、けっこうそういう意識がある人も多いのかもね。ちなみに、朝日新聞社と東京大学が2014年12月の衆議院選挙の後にやった調査だと、衆議院議員の人の85%くらいが憲法改正に賛成だったらしい。ただ、一般の有権者では、憲法改正に賛成なのは35%くらいだったらしい。
サキノブ(20歳・学生)あら、国会議員の人と一般人でえらく差がありますね。っていうかほとんど真逆みたいな感じじゃないですかね。議員の人たちって、選挙で選ばれて、持ってる意見とかもぼくたちの代表っていう感じなのかと思ってましたけど、これはちょっと違いそうですかね。
ソテ(28歳くらい)ちなみに、憲法を変えるには、国会議員だけではできなくて、国民投票で過半数の賛成も必要なんでしたっけ。
ソータロー(35歳くらい)まあ、今の憲法が完全にこの国の国民だけで作ったものではないにしても、じゃあ、70年前に、日本人だけで憲法を作ったら、今の憲法よりも良い憲法が、国民がもっと幸せに暮らせるような憲法が、作れたんだろうかなあ。オレとしては、作られたときの経緯がどうであれ、それが国民にとって良いものだったんならそれで良かったんじゃねえかと思うし、現状でもこれからもこのままで国民にとって良いものなら、これからもこのままでいいんじゃねえかなあと思うかなあ。まあ、変えた方が国民が本当に幸せになれるところがあるんなら、それは変えた方がいいと思うけども。
ソテ(28歳くらい)う〜ん、やっぱり、憲法改正に賛成か反対かっていうのは、その中身次第ですかね。単に、「他の国の人が原案を作ったものだから変えたい」とか「自分が歴史に名を残したいから変えたい」とかじゃなくて、「憲法のここをこう変えたら国民が幸せになると思うから憲法を変えたい」っていう案が出てきたら、それで本当に自分たちが幸せになれるかどうか具体的に考えて、判断した方がいいですかね。
サキノブ(20歳・学生)まあ、政治家が自分の名声とか実績とかのために憲法改正したいとかいうのは、民主主義的なことじゃないんじゃないですかね。そんなことのためだけに憲法を改正するっていうのは反対ですかね。
ソータロー(35歳くらい)まあちなみに、自由民主党だとか日本維新の会だとかで憲法改正に賛成の国会議員がたくさんいても実際に憲法改正の発議だとか国民投票だとかが行われねえのは、憲法改正の具体的な内容がまとまらねえのと、それから、国民投票をやっても現状だと過半数の賛成を得られなさそうっていうのがあるみてえかな。まあ実際問題として、国会議員の数では自由民主党は半分以上いるとは言っても、選挙での得票率は、投票した人の中だけで見ても34%くらい、投票できる人全体から見ると18%くらいしかねえからな(「近年の選挙の投票率とか得票率とか」) >。